前回の「英語教育について大切なこと Part Iでは、私の自己紹介と、私が英語教育において大切に思うポイント5つの中から1つ目のポイント「国語力」についてお話させていただきました。

英語教育において大切な5つのポイント
1. 国語力
2. 文法
3. 語彙
4. 発音
5. 勉強量、勉強法

本日はポイント2の「文法」についてお話ししたいと思います。

文法とは、言葉のルール。
その言語を話す人が同じルールを守るから、共通認識が生まれ、意思の疎通ができます。例えば、サッカーの試合で全くルールを知らない人と試合をするとなった場合、まずはルールの説明をしますよね?ルールの説明なくプレーを開始してしまったら、ただただボールを蹴りあうだけで(もしかしたら持って走るかも知れない)、混沌としたつまらない遊びになってしまいます。
また、あなたが全く聞いたことがない新しいスポーツを「一緒にプレーしましょう」と誘われたら、「どうやるの?」と、まずルールを訊きますよね?英語も同じです。まずはルールを学んで全体像を掴むのが得策と言えます。

「文法の勉強は苦手だな」「文法は嫌い!」という人も少なくないと思いますが、文法に関して一つ吉報があります。それは「文法は完全網羅が可能」という事です。単語や表現は数限りなく、どんなに覚えても覚えすぎるという事はありませんが、文法は必要なルールを覚えてしまえば、それでおしまいです。ましてや、基本のコミュニケーションで使用する基礎文法の種類は限定されます。そこで私の導き出した結論は「文法はさっさとやってしまえ」です。特に大人になってからの学習は、どの言語であってもまず文法から勉強するのがお勧めです。なぜなら、文法を単語や表現を整理する「棚」のように活用して、学んだ知識を効率的に身に付けていけるからです。

但し、英語を「まず文法から学ぶ」のに適していない人がいます。それは「子供」です。
子供は「感覚的思考」が優位ですので、未知の言語も意味を伴う状況で大量に「浴びる」ことによって自然に理解できるようになる、といったことがあります。赤ちゃんや小さな子供が、外国人同士でお互いの言葉がわからなくても自然にコミュニケーションを取り、遊び、友達になりやがてその言語を自然に話せるようになるのは、「感覚的思考」が優位だからです。
しかしながら、「感覚的思考」の割合は成長と共に徐々に下降していき、やがて「論理的思考」に取って代わられます。「感覚的思考」と「論理的思考」が丁度同じ位の割合になるのが、10歳と言われています。言い換えれば、10歳を過ぎるとどんどん「論理的思考」が優位になっていくというわけです。

最近は日本においても英語教育が小学校からスタートしています。
公立校と私立校で多少教育方針やカリキュラム、講師等々は違うかも知れませんが、子供の年齢的特性をしっかり理解した上で計画がなされているでしょうか。また、かつて中学校から英語教育が開始していた時代は、学校の授業はもっぱら文法が中心でした。当時のカリキュラムや教材、先生の教え方が100%良かったわけではありませんが、少なくとも中学・高校の過程で文法を網羅できるようなカリキュラムにはなっており、先生も「英語を話すことはできないが文法は教えられる」先生は多かったのではないでしょうか。中学1年生と言えば13歳。思考の変換を数年前に迎え、文法を体系的に学び始めるには適した年齢と言えます。
現在の中学校の英語教育は「コミュニケーション重視型」となっており、教科書も残念ながら文法が学びやすい作りにはなっていません。また、現場の先生方は必ずしも全員が英会話・英語コミュニケーションを教えるための充分な訓練を受けているわけではないと思われます。英語コミュニケーションを教えるプロではない先生が、既に論理的思考に傾いている年齢の生徒たちに対して、感覚的にコミュニケーションを教える、という何ともチグハグな状況になってしまっているように見受けられます。

結果、学校でしか英語を勉強していない生徒は英語学習の大切な一歩目で混乱し躓いてしまう、という歯痒く悲しい現象が起こってしまっています。
我々や親御さんが学校のカリキュラムを変更する力はありませんので、その状況でどのように子供たちを混乱から守り、大切な英語学習の一歩目をサポートしてあげられるか。ここをしっかり考えたいものです。あすなろ塾でも何とかこの問題を解消すべく、日々試行錯誤を繰り返しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA