英語教育について大切なこと PartⅢ

前回の「英語教育について大切なこと PartⅡ」では、私が英語教育において大切に思うポイント5つの中から2つ目のポイント「文法」についてお話させていただきました。

英語教育において大切な5つのポイント
1. 国語力
2. 文法
3. 語彙
4. 発音
5. 勉強量、勉強法

本日はポイント3の「語彙」についてお話ししたいと思います。

語彙とは言わずもがな、単語や表現の事ですね。文法と同じく、各言語で「これにはこういう名前を付けよう」という共通認識、つまりルールですね。日本語で言う「机」は英語では「desk」という決まり事ですので、覚えるしかないわけです。その決まり事を、母国語に関しては赤ちゃんの時から周りで使用されている語彙を状況と紐づけて吸収し、自然に事象や人・物の名前が記憶に残っていくので、日常単語は家庭生活で自然に身に付き勉強の必要がないわけですが、学校で国語やその他教科を勉強する中で更に広い範囲の語彙を増やしていきますね。抽象的な概念も含め、より高度なコミュニケーションを取れるようになることを目指すのが学校教育ですね。つまり、母国語でも全ての語彙は完全に自然に見に付いたわけではなく、「勉強」が必要だったという事です。
それでは外国語はどうかというと、なおさら「勉強」して「覚える」という作業は必須なわけです。

それでは、いったいどれくらいの語彙を覚えれば英語は「ぺらぺら」になるのか。
データは巷に様々ありますが、一例として以下の情報を載せます。参考にされてください。
まずは身近なところで英検の各級やTOEICスコアクリアに必要な語彙数は大まかに以下の通りです。
英検​ TOEIC​ 必要単語数
1級​ 950点​ 10000語
準1級​ 800点​ 8000語
2級​ 600点​ 5000語
準2級 ​470点 ​3600語
3級 ​340点​ 2000語

さて、あなたやあなたのお子さんは何語くらいの語彙知識があるでしょうか。
中学校で習う語彙を全て覚えたら、2,400語ほどと言われています。丁度英検3級合格レベルですね。「小学校でも英語をやっていた!」という方は、小学校時代に習った単語を知っている限り数えてみてください。そうすれば自分が大体何語を覚えているのかがわかりますね。

更に、ネイティブスピーカーは一体どれくらいの語彙知識があるのでしょうか。

英語圏ネイティブスピーカーが持つ平均語彙数
中学生:19,400〜19,900語
高校生:21,400〜22,800語
成人:23,800〜28,000語程度

英検1級を取ったとしても、語彙の「数」の面で言うとネイティブスピーカーにはかないませんね…
つまり、「ぺらぺら」になるには(ぺらぺらのレベルにもよりますが)膨大な数の語彙知識が必要という事です。

それでは、最低限のコミュニケーションという観点ではどうでしょうか。
以下は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の基準でA1レベル(英検3~準2級、TOEIC320~620)でどの程度のコミュニケーションができるかの定義を抜粋したものです。

A1.1 なじみのある定型表現を使って、時間・日にち・場所について質問したり、質問に答えたりする ことができる。

A1.2 基本的な語や言い回しを使って日常のやりとり (何ができるかできないか、色についてのやりとり等)、において単純に応答することができる。

A1.3 趣味、部活動などの馴染みのあるトピックに関して、はっきりと話されれば、簡単な質疑応答をすることができる。

※CEFRは現在、ヨーロッパ言語のみならず世界中のあらゆる言語の共通指標になりつつあります。詳しくは、下記リンクより文部科学省のサイトをご確認ください。
【引用元】文部科学省

A1~C2までのレベルでA1は一番下のレベルで、大まかにいうと「サバイバルレベル」です。
A2が日常会話レベル、B1は簡単なビジネスレベル、B2はビジネスレベル、C1は専門講師レベル、C2はネイティブレベル、とでも言いましょうか。(私の個人的な表現・描写ですのでご了承ください)
このA1レベルのコミュニケーション力を身に付ける為に必要な語彙数が約2,000~5,000語というわけです。

途方もない語彙数が必要とわかると、くらくらしてきますよね。(笑)
ただ、現在地と目標の実態を把握することは学習の開始段階でとても重要なことです。数が膨大であるからこそなるべく早く地道な積み重ねを開始することをお勧めします。いつやるの?「今でしょ!」古っ!

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